抵当権消滅請求について
抵当権消滅請求とは
破産手続きが開始すると、債務者が有していた財産は破産財団となり、破産管財人の管理の下、換価した財産を各債権者に分配していきます。
この分配は債権者への平等かつ公平な配当を目的としており、分配後は債権者から個別に債権を回収されることがなくなります。
このような分配を行うことで、自己破産者の再建を図るのです。
ですが、破産財団の中に抵当権のような担保権が設定されている不動産があるとそうはいかず、担保権者は破産手続きに関わらず優先的に債権を回収する権利を持っています。
たとえば、担保権が設定されている不動産を競売にかけて、その代金を自らの債権に充てさせることができるといったものです。
このように他の債権者にはない担保権者の権利を別除権といい、この場合によくあるケースとしては銀行などから借りる住宅ローンです。
こういった別除権があると、債務者が不動産の任意売却を行おうにも、担保権者が同意しない限り認められませんでした。
しかしこれに対し、平成16年の破産法改正により、破産管財人は裁判所の許可を得ることで抵当権を消滅させることができる、抵当権消滅請求を行えるようになりました。
これにより、以前よりも任意売却を行える場合が増え、他の債権の弁済に、より多く充てられるようになったといえます。
しかし、当然ながら抵当権消滅請求に対する担保権者の対抗手段も存在します。
そのため、必ずしもこの消滅請求が成立するとは限りませんが、弁済までの有効手段の1つとして覚えておくといいでしょう。