否認権について
否認権とは
自己破産を申し立てた債務者が所有する財産は破産財団となり、破産管財人によって管理・換価され、債権者に対して平等に分配されるのが一般的な手続きです。
ですが、本来であれば破産財団に含まれていたはずの財産が手続きの前になんらかの理由で債務者の手元から離れてしまっていることがあり、そのような財産を再度取り戻すための破産管財人の権利として否認権があります。
破産手続開始決定前に債務者が財産を特定の相手に譲渡していた場合など、所有する財産が減ってしまえば、それだけ債権者に対する配分も少なくなるため、平等な分配という手続きを害することになります。
つまり、通常であれば債権者へ分配される破産財団に含まれるはずだった財産であるため、破産管財人はその財産を取り戻すことができるというわけです。
この否認権には主に、資産隠しのような財産を少なく見せるための詐欺行為に対する場合、複数の債権者の中で特定の債権者に対してのみ財産を譲渡する偏頗行為に対する場合、見返りを問わず財産を譲渡する無償行為に対する場合の3種類を基本とし、これらのケースに対して否認権を行使することができるとされています。